天中殺にやってはいけないこと——禁止事項ではなく、休ませ方として

自分の天中殺の年を調べたら、そのまま「やってはいけないこと」の一覧が出てきた。 引っ越しも、転職も、結婚も、大きな買い物も、だめ。

読んでいるうちに、これから数年間ずっと息をひそめていなければいけないような気持ちになって、画面を閉じられなくなった。 そんな夜に、ここへたどり着いてくださったのかもしれません。

怖くなったのは、あなたが気にしすぎだからではありません

天中殺という言葉は、字面がとにかく強いです。 意味を知る前に、まず「殺」の一文字が目に入ってしまう。

そのうえ、検索して出てくるのは禁止事項の並んだ一覧です。 何がだめかは書いてあるのに、なぜだめなのかと、ではどうすればいいのかが、あまり書かれていない。 理由の分からない禁止だけを渡されたら、誰だって怖くなります。

そしてもうひとつ。多くの方が、一覧を見たあとに過去を振り返ります。 あのとき引っ越したのがいけなかったのか、あの決断が間違いだったのか、と。

その振り返り方だけは、今日はいったん止めておきましょう。 済んだことを罰として読み直すために、この考え方があるわけではないからです。

鑑定師としての見立て

わたしが学んできた帝王学陰陽五行の見方では、人には生まれ持った気質の型があり、そこに運気の巡りが重なっていくと考えます。巡りには外に向かって開いていく季節と、内側にこもって整える季節があって、どちらも一年のうちに必要なものです。

天中殺は、そのなかでも心が不安定になりやすい巡りを指します。

この時期に起こりやすいことは、だいたい決まっています。 まず、普段と違う動き方をしてしまいます。いつもなら選ばない選択肢が、なぜかその日だけ良く見える。 次に、現状を変えたくなります。引っ越したい、辞めたい、結婚を決めてしまいたい、高価なものを買いたい。人生の景色を大きく動かすものに、この時期は強く惹かれます。 それから、注意力が普段より欠けます。小さな見落としが増える時期です。 そして、隠していたことが表に出やすくなります。

一覧に並んでいた禁止事項は、この特徴の裏返しです。 大きな決断を避けましょうと言われるのは、その決断が呪われるからではありません。判断のものさし自体が普段と違っている時期に、人生を左右する寸法を測るのは、あとで測り直したくなることが多い、という程度の話です。

わたしはこの時期を、楽器の弦をゆるめておく季節のように見ています。 弦は張りっぱなしにしておくと、音は出せても、少しずつ伸びて狂っていきます。だから使わない時期には、意図してゆるめておく。ゆるめているあいだ、その楽器は演奏できませんが、壊れているわけではありません。

ですから、天中殺は「何もするな」という時期ではなく、「張りつめるのをやめていい」時期だと捉えています。

そして、この季節に向いている過ごし方も、昔から言われています。 自分を通そうとせず、来たものを受け取る側に回ること。結果を期待せずに、その日その日を味わうこと。分かってもらおうと力まないこと。ご先祖やお墓を思うこと。誰かのために、見返りのない形で動くこと。自分を育てるために学ぶこと。そして、体を整えること。

外に向かって咲かせる季節ではありませんが、内側を整える季節としては、これ以上ないほど向いています。 そして、この時期はいつまでも続くものではありません。明ければ、また外に開いていく季節が巡ってきます。

同じ生まれの人でも、環境や生き方によって歩む道は変わります。当たり外れを確かめるためではなく、いまはそういう季節なのだな、という眺め方をしていただけたらと思います。

今日からできる、小さな一歩

禁止を数えるかわりに、休ませ方のほうを置いておきます。ひとつだけ選んでいただければ十分です。

  • 予定表に、空白の日をひとつ書き込む。何も入れないと決めた日をつくるだけです。この季節は、埋まっていない時間そのものが効きます
  • 買いたいものを、かごに入れたまま三日置いてみる。三日後にまだ欲しければ、そのときに考えます。この時期の衝動は、三日でずいぶん形が変わります
  • 今年やらないことを、ひとつだけ決める。増やすより、減らすほうがこの季節には合っています
  • 健康診断や歯の治療の予約をとる。後回しにしていた体の手入れは、この時期にいちばん向いた用事です
  • 誰かに何かを説明して分かってもらう場面を、今日はひとつ手放す。理解されようと力まないでいい季節です

すべてやろうとしなくて大丈夫です。ひとつでも、この季節の使い方としては十分です。

おわりに

天中殺は、あなたに罰が当たる期間ではありません。 弦をゆるめて、次に鳴らすときのために置いておく時間です。

一覧を見て怖くなった気持ちは、もう役目を終えました。 今日はそこまでにして、静かに一日を閉じてください。

強い星の扱い方については、天将星を陽転させるには——強すぎる星と、どう暮らすかにも書いています。

もし気持ちの落ち込みや眠れない日が長く続いているようでしたら、専門の相談窓口や医療機関も頼ってくださいね。巡りの話で片付けずに、頼っていい場所があります。

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